パウロ行伝
インターネットで公開されているパウロ行伝(英文「The Acts of Paul」1924年刊)から翻訳してみました
パウロ行伝は1-43章から成ります
パウロ行伝の内容はパウロの教えを受けた乙女が多くの苦難を経験しながら神の言葉を人々に告げるようになる聖女テクラの物語です
内容
1章 パウロはデマスとヘルモゲネスと共にイコニオムに上って行きました
2章 オネシフォロが妻子と共にパウロに迎えに行きました
3章 身長の小さな髪の薄い足の曲がった眉毛の接した鉤鼻で健やかな体の慈悲に満ちたパウロを見ました
4章 オネシフォロはパウロに挨拶してデマスとヘルモゲネスに挨拶しませんでした
5章 心の清い者は幸いです何故なら彼等は神を見るから
6章 処女の体は幸いです何故なら彼女たちは神に喜ばれ彼女たちの純潔の報いを失わないから
7章 テクラという乙女が窓の近くに座ってパウロの言葉を熱心に聞いていました
8章 彼女の母テオクレイアは彼女の婚約者タミュリスを呼んで彼女が窓から戻って来ないことを告げます
9章 母は婚約者にテクラの所に行ってパウロの言葉に捕らえられている彼女と話すように言います
10章 タミュリスはテクラに話しかけますがテクラは顔を背けてパウロの話しに心を向けます
11章 タミュリスはパウロの許に出入りする二人の男を見つけ若者と乙女の心を迷わせている男について聞きました
12章 その男は純潔を保つ以外甦りはないと言って若者と乙女を騙しているとデマスとヘモゲネスは話しました
13章 タミュリスは二人を家に連れて行き豪華な晩餐を振る舞いパウロの教えについて聞きました
14章 二人はタミュリスにパウロを総督の許に連れて行けば総督は彼を殺すと言い甦りについても教えました
15章 タミュリスと町の人々はパウロの許に押しかけ彼を魔法使い呼ばわりして総督の前に連れて行きました
16章 タミュリスの告発を受けて総督はパウロに聞きました「あなたは誰か」「何を教えているのか」
17章 パウロは神から遣わされて神から啓示されたことを教えていると答え総督は彼を縛り監獄に入れました
18章 テクラは門番と看守を買収して監獄の中に入りパウロの足元に座って神の言葉を聞き鎖に口づけしました
19章 家族とタミュリスは監獄でまるでパウロと愛情によって結ばれているようなテクラを見つけ出し総督に訴えました
20章 総督はパウロとテクラを裁判で尋問しテクラは何も答えず彼女の母は彼女を火あぶりにしなさいと叫びました
21章 総督はパウロを鞭打って追放しテクラを火あぶりにするように命じテクラは群衆の上に主を見ました
22章 テクラが薪の上に上ると火が付けられたが神の憐れみで炎は彼女を捉えず雲から雨と雹が降り火が消えました
23章 パウロと共に去ったオネシフォロ一家の少年がテクラを見つけてパウロの許に連れて行きます
24章 テクラは墓で彼女の為に祈っているパウロを見て叫びパウロは彼女を見て二人はイエスの父なる神を讃美します
25章 彼等は喜んで食事をしてテクラは髪を切ってパウロに従うと言いパウロは誘惑に用心しなさいと答えました
26章 テクラはパウロと共にアンティオキアに行き男に抱き付かれ男の衣を裂き頭の冠を奪って彼を笑い者にしました
27章 テクラは男アレクサンダーによって総督の前に連れて行かれ獣による刑を宣告され皇妃の許に引き取られました
28章 雌獅子の上に縛られて町を引き回されたテクラの足を獅子が舐め人々を驚かせ皇妃は再び彼女を引き取ります
29章 テクラは皇妃トリュファイナの死んだ娘が永遠に生きられるようにイエスに祈ります
30章 男アレクサンダーは獣と闘わせる為にテクラを連れに来ましたがトリュファイナの大きな叫び声で逃げ去ります
31章 総督は兵を送ってテクラを連行し皇妃はテクラの手を取ってついて行きテクラは主に呻き皇妃の為に祈ります
32章 人々は冒涜者を連れて来いと叫び女たちは不法行為だ冷酷な光景だ邪まな判決だと叫びます
33章 裸にされ競技場に投げ込まれたテクラを雌獅子が助け熊を引き裂き他の獅子と取っ組み合って殺し合いました
34章 テクラはイエス・キリストの名によって自身に洗礼を施す為水に身を投じ海豹は火の閃光を見て死にました
35章 芳香に酔った獣たちは眠ったようになり猛牛に縛られたテクラは縄を炎で焼かれて自由になりました
36章 皇妃は失神し皇帝の親族トリュファイナの死を恐れアレクサンダーは総督にテクラの刑を免除するように願いました
37章 総督に呼ばれたテクラは私は生ける神の婢で神の息子を信じているので獣から救われていると答えました
38章 総督はテクラに服を着せて釈放し全ての女は一斉にテクラを保護した一つなる神を讃美しました
39章 トリュファイナはテクラを抱き死人の甦りと娘の生きていることを信じる言い彼女を自分の相続人にしました
40章 テクラは他の町に居るパウロを見つけ出し洗礼を受けたことを告げました
41章 パウロは全てのことを聞いて驚きテクラからイコニオムに行くと告げられ彼女に行って教えなさいと言いました
42章 テクラはオネシフォロの家に入り床に平伏して泣き神と神の息子イエス・キリストに感謝の祈りを捧げました
43章 テクラはタミュリスの死を知り母に会って証しした後セレウキアに行き神の言葉で多くの人を照らしました
Office Murakami
1章
パウロがアンティオキアから逃げた後イコニオムに上って行った時
デマスと銅細工師ヘルモゲネスがそこに彼と共に旅をしました
彼等は偽善に満ちていました
そして彼等はまるでパウロを愛してかのように媚び諂いました
しかしパウロは
キリストの善だけを見て
彼等に悪を為さず
彼等を十分に愛しました
それ故に彼は彼等に優しく分析して話しました
主のお告げの全てを
そして福音の教えと解釈を
愛された者の誕生と甦りを
そしてキリストの偉大な業の全てを一語一語彼等に語りました
いかにそれらが彼に啓示されたか
いかにキリストがダビデの子孫の乙女マリアから生まれたか
2章
そしてオネシフォロという名の一人の男が
パウロがイコニオムに来たと聞いて
彼の子供のシムミアスとゼノと彼の妻のレクトラと共に彼に会いに出て来ました
彼の家に彼を迎える為に
何故ならティトスがパウロがどんな人か容姿を彼に話していたから
何故なら彼を肉において見たことがなかったから
ただ霊において以外
3章
そして彼はリストラに導く王の道の側に行って彼を待って立ちました
そしてやって来る彼等を見つめました
ティトスの人相書きに従って
そして彼はパウロがやって来るのを見ました
身長の小さな男が
頭の髪の薄い
足の曲がった
体の状態は健やかな
眉毛は接しており
そしてやや鉤鼻の
慈悲に満ちた
何故なら時には彼は人のように見え
そして時には天使の顔を持ったから
4章
そしてパウロはオネシフォロを見て微笑みました
そしてオネシフォロは言いました
幸あれ
神の祝福を受けた僕よ
そして彼は言いました
あなたとあなたの家族に恵みあれ
しかしデマスとヘルモゲネスは妬みました
そして彼等の偽善をなお一層掻き立てました
そこでデマスは言いました
私たちは祝福を受けた僕ではないのですか
あなたが私たちにそう挨拶しなかったから
そしてオネシフォロは言いました
私はあなたたちの中に何の義の実も見ません
しかしもしあなたたちがそうであるなら
あなたたちも又私の家に来て疲れを取りなさい
5章
そしてパウロがオネシフォロの家に入ると
そこには歓喜がありました
そして跪いてパンを裂き
そして節制と甦りに関する神の言葉がありました
何故ならパウロがこう言ったから
心の清い者は幸いです
何故なら彼等は神を見るから
肉の純潔を保つ者は幸いです
何故なら彼等は神の神殿になるから
自制する者は幸いです
何故なら神は彼等に語るから
この世を放棄する者は幸いです
何故なら彼等は神に喜ばれるから
まるで妻を持たない者かのように妻を持つ者は幸いです
何故なら彼等は神を受け継ぐから
神を畏れる者は幸いです。
何故なら彼等は神の天使になるから
6章
神のお告げに震える者は幸いです
何故なら彼等は慰められるから
イエス・キリストの知恵を受け取る者は幸いです
何故なら彼等はいと高き者の息子たちと呼ばれるから
彼等の洗礼を清く保つ者は幸いです
何故なら彼等は父と息子と共に休むから
イエス・キリストを十分に理解した者は幸いです
何故なら彼等は光の中にいるから
神の愛の為にこの世の流儀から離れた者は幸いです
何故なら彼等は天使を裁き
そして父の右手で祝福されるから
慈悲深い者は幸いです
何故なら彼等は慈悲を得て裁きの厳しい日を見ないから
処女の体は幸いです
何故なら彼女たちは神に喜ばれ彼女たちの純潔の報いを失わないから
何故なら父の言葉は彼の息子の日に救いの業を彼女たちに齎し
そして彼女たちは永久に休息を得るから
7章
オネシフォロの家の集会の真ん中でパウロがこれらの言葉を言った時
一人の乙女が
テクラが
彼女の母はテオクレイアでした
夫として婚約していたのはタムリスでした
窓の近くに座っていました
そしてパウロによって語られた純潔に関する言葉を日夜聞いていました
そして彼女は窓から動かず
信仰によって前に導かれました
非常に喜びながら
そして更に
多くの成人女性と乙女がパウロの所に入るのを見て
彼女も又パウロの面前に立ってキリストの言葉を聞く価値のある者と見なされたいと熱心に望みました
何故なら彼女はまだパウロの容姿を見ず
彼の話しだけ聞いていたから
8章
さて彼女が窓から移動しないので
彼女の母はタミュリスに人を遣わしました
そして彼は既に彼女を妻に娶ったかのように大喜びで来ました
それでタミュリスはテオクレイアに言いました
私のテクラはどこですか?
そしてテオクレイアは言いました
タミュリス私はあなたに新しい話があります
何故なら三日三晩テクラは窓から立ち上がらず
食べることも飲むこともせず
楽しい光景を見るかのように熱心に見て
彼女は欺きと様々な言葉を教える見知らぬ人に心を向けているので
あの乙女の大変な慎み深さがどうしてこのように少しもなくなったのか私は驚いています
9章
タミュリスよ
この男はイコニオムの町全てをひっくり返します
そしてあなたのテクラも又
何故なら全ての女たちと若者たちは彼の所に入って行って彼によって教えられているから
あなたたちはこうしなければなりません
彼は言います
唯一の神を畏れ純潔に生きなさい
そして私の娘も
窓の蜘蛛のように
彼の言葉に縛られて
新しい望みと恐ろしい情熱に捕らえられています
何故なら彼女は彼が語ることに縋り付き
その乙女は捕らえられているから
しかしあなたは彼女の所に行って彼女に話しなさい
何故なら彼女はあなたと婚約しているから
10章
そしてタミュリスは彼女の所に行きました
彼女を愛しながらも彼女の不安定な精神状態を恐れながら
そして言いました
テクラよ
私の婚約者
何故あなたはこのように座っているのか?
そしてあなたを迷わせているのはどんな情熱なのか
あなたのタミュリスに顔を向けて恥じなさい
そして彼女の母も又同じことを言いました
テクラよ
何故あなたはこのように座っているのか?
下の方を見て
そして何も答えずに
傷ついた者のように
そして彼等は激しく泣きました
タミュリスは妻を失った故に
そしてテオクレイアは子を
そして婢たちは女主人を
その結果家の中に大混乱が起きました
そしてこのこと全てがそうなっても
テクラは顔を背けて
パウロの話しに心を向けました
11章
しかしタミュリスは突然走って通りに行ってパウロの所に出入りする人々を観察しました
そして互いに酷く争っている二人の男を彼は見ました
そして彼等に言いました
男の方々
私に話して下さい
あなたたちが誰なのか
そしてあなたたちと共に居る彼は誰なのか
若者たちと乙女たちの心を迷わせている者は
結婚しないで彼等は今のまま生きるべきであると彼等を騙して
だからあなたたちに大金を払うと私は約束します
もしあなたたちが彼のことを私に話すなら
何故なら私は町の重要人物だから
12章
そしてデマスとヘモゲネスは彼に言いました
この男が誰か
私たちは知りません
しかし若者から妻を乙女から夫を彼は騙し取っています
こう言って
他の方法であなたたちには甦りはありません
あなたたちが純潔を続け
そして肉を汚さずそれを汚れなく保つ以外
13章
そしてタミュリスは彼等に言いました
来て下さい
男の方々よ
私の家に
そして私と共に疲れを取って下さい
そして彼等は贅沢な宴会と多くの葡萄酒と非常に豊富で立派な食卓に行きました
そしてタミュリスは彼等に酒を飲ませました
何故なら彼はテクラを愛して彼女を妻に娶ることを望んでいたから
そして晩餐でタミュリスは言いました
私に話して下さい
男の方々よ
彼の教えが何なのか
私も又それを知ることが出来るように
何故なら私はテクラのことで大いに苦しんでいるから
彼女がその見知らぬ人をそのように愛して
そして私は私の結婚を騙し取られたから
14章
そしてダマスとヘルモゲネスは言いました
カステリオ総督の前に彼を連れて行きなさい
キリスト教の新しい教えで大衆を説得している者として
そしてそうすることで彼は彼を殺すでしょう
そしてあなたはあなたの妻テクラを得ることが出来るでしょう
そして彼が主張する甦りを私たちはあなたたちに教えましょう
私たちが持つ子供たちによってそれは既に実現していることを
そして私たちが神を知るに至った時に私たちは甦ることを
15章
しかしタミュリスは彼等からこのことを聞いて
彼は妬みと怒りに満たされました
そして早起きしてオネシフォロの家に行きました
支配者たちと役人たちと大群衆と共に棒を携えて
パウロに言いました
あなたはイコニア人の町と私の嫁になる彼女を滅ぼしました
その結果彼女は私と関係を持とうとしません
私たちは総督カステリオの許に行こう
そして全ての群衆は言いました
その魔法使いを追い払え
何故なら彼は私たちの妻を駄目にしたから
そして群衆は彼に向かって一斉に立ち上がりました
16章
そしてタミュリスは
裁判席の前に立って
大声で叫んで言いました
総督よ
この男がどこから来たのか私たちは知りません
彼は乙女たちに結婚することを許しません
あなたの前で彼に言わして下さい
何故に彼はそんなことを教えるのか
そしてデマスとヘルモゲモネスはタミュリスに言いました
彼がキリスト教徒だとあなたは言いなさい
そうすればあなたは彼を滅ぼすでしょう
しかし総督は彼の心を確り保ってパウロを呼びました
彼にこう言って
あなたは誰か?
そしてあなたは何を教えているのか?
何故ならこの者たちがあなたに齎している告発は軽いものではないから
17章
そしてパウロは彼の声を張り上げて言いました
もし今日私が教えたことを調べられるなら
聞いて下さい
総督よ
生ける神は
復讐の神は
妬みの神は
何も必要としない神は
しかし人々の救いを望んで
私を遣わしました
私が堕落と不純と全ての快楽と死から彼等を断ち切る為に
彼等が二度と罪を犯さない為に
それ故に神は彼自身の子を遣わしました
彼のことを私は伝道して教えています
人々は彼に希望を持つべきであると
彼だけが誤ったこの世を憐れんでいると
人々が二度と裁きの下に置かれず信仰と神への畏れと信実の知識と真実の愛を持つ為に
もしそれで私が神から啓示された事を教えているなら
どうして私が悪い事をしているのか
総督よ
そして総督はそれを聞いて
パウロを縛って監獄に連れ去るように命じました
彼がもっと念入りに彼の言うことを聞く暇を持てる時まで
18章
しかしテクラは夜彼女の腕輪を外してそれを門番に与えました
そして彼女の為に門が開けられると彼女は監獄の中に入りました
そして看守に銀の鏡を与えてパウロの所に入りました
そして彼の足元に座って神の素晴らしい言葉を聞きました
そしてパウロは全く恐れず
神を信頼して歩みました
そして彼女の信仰も又彼の鎖に口づけする毎に増しました
19章
さてテクラは彼女自身の人々とタミュリスによって捜された時
彼女は行方不明者として通り中を捜されました
そして門番の連中の一人が彼女は夜出かけたと話しました
そして彼等は門番を調べました
そして彼女は監獄にいる余所者の所に行ったと彼は彼等に話しました
そして彼等は彼が彼等に話した通りに行って彼女を見つけました
まるで愛情によって彼と結ばれているかのような彼女を
そして彼等はそこから去って行って群衆を彼等の許に集め総督にそのことを説明しました
20章
そして彼はパウロを裁判の席に連れて来るように命じました
しかしテクラはパウロが監獄の中に座って教えていた場所に丸くなっていました
そして総督は又彼女も裁判の席に連れて来るように命じました
そして彼女は大喜びで行きました
そしてパウロが二度目に連れて来られると人々は更に激しく叫びました
彼は魔法使いだ
彼を追い払え
しかし総督はキリストの聖なる業についてパウロの言葉を喜んで聞きました
そして彼は相談しました
そしてテクラを呼んで言いました
何故あなたはタミュリスと結婚しないのか
イコニア人の法律に従って
しかし彼女はパウロをひたすら見つめて立っていました
そして彼女が答えないと
彼女の母テオクレイアが叫びました
こい言って
この不埒者を火あぶりにして下さい
花嫁にならない彼女を劇場の真ん中で火あぶりにして下さい
この男によって教えを受けた全ての女が恐れる為に
21章
そして総督は大いに心を動かされました
そして彼はパウロを鞭打ちにして彼を町から追放しました
しかしテクラを火あぶりにするように彼は命じました
そして直ちに総統は立ち上がって劇場に立ち去りました
そして全群衆は恐ろしい光景に向かって行きました
しかしテクラは
羊飼いを見つける荒野の子羊のように
パウロを捜し求めました
そして彼女は群衆の上を見て座っている主を見ました
パウロに似たものを
そして言いました
まるで私が耐えることが出来ないかのように
パウロが私を見に来ました
そして彼女は彼にひたすら目を注いでいました
しかし彼は天に去って行きました
22章
さて青年たちと乙女たちが薪と乾草を持って来ました
テクラを火あぶりにする為
そして彼女が裸で連れて来られた時
総督は泣いて彼女の内にある力に驚嘆しました
そして彼等は薪を置きました
そして死刑執行人は彼女に積んだ薪の上に上るように命じました
そして彼女は
十字を切りながら
薪の上に上って行きました
そして彼等はそれに火を付けました
大きな炎が燃え上がったにも拘わらず
炎は彼女を捉えませんでした
何故なら神が彼女を憐れんだから
そして地の下に地響きを齎し
そして雲が彼女の上に影を落としました
雨と雹に満ちた雲が
そしてその器の全てが注ぎ出されました
その結果多くの者が死の危険の中にありました
そして火は消されました
そしてテクラは保護されました
23章
さてパウロはオネシフォロと彼の妻と彼等の子供たちと共に断食していました
イコニオムからダフネに行く途中にある出入り自由の墓の中で
そして多くの日々が過ぎた時
彼等は断食したので
少年たちがパウロに言いました
私たちはお腹が空きました
そして彼等にはパンを買う手段が何もありませんでした
何故ならオネシフォロはこの世の財産を捨てて
そして彼の家族と共にパウロに従ったから
しかしパウロは彼の上着を脱いで言いました
行きなさい
子供よ
パンをいくつか買ってそれを持って来なさい
そしてその少年が買った時
彼は彼の隣りにテクラを見ました
そして驚きました
そして言いました
テクラよ
あなたは何処に行きますか
そして彼女は言いました
私はパウロを捜しています
何故なら私は火から保護されたから
そして少年は言いました
いらっしゃい
私があなたを彼の所に連れて行きます
何故なら彼はあなたの為に嘆き悲しんで六日間祈って断食しているから
24章
そして彼女が墓のパウロの所に来た時
彼は膝まづいて祈って言いました
キリストの父よ
火がテクラを捉えないようにして下さい
彼女に危害を与えないで下さい
何故なら彼女はあなたのものであるから
彼女は彼の後ろに立って叫びました
天と地を造った神よ
あなたの愛する子イエス・キリストの父
私はあなたを讃美します
何故ならあなたは火から私を保護したから
私がパウロに会えるように
そしてパウロは立ち上がって彼女を見て言いました
心を知る方である神よ
私たちの主なるイエス・キリストの父
私はあなたを讃美します
私があなたに求めたことを迅速に成し遂げた故に
そして私に耳を傾けた故に
25章
そして墓の中に沢山の愛がありました
何故ならパウロが喜んだから
そしてオネシフォロが
そして彼等の全てが
そして彼等は五つのパンを食べました
そして草を
水と塩を
そして彼等はキリストの聖なる業を喜びました
そしてテクラはパウロに言いました
私は私の髪を切って丸めて
そしてあなたが行く所にどこにでもついて行きます
しかし彼は言いました
この時は醜いくあなたは美しい
他の誘惑があなたを捕えないように用心しなさい
最初より悪いものが
そしてあなたが意気地をなくしてそれに耐えられなくなるものが
そしてテクラは言いました
ただキリストによる封印を私に与えて下さい
そして誘惑が触れないようにして下さい
そしてパウロは言いました
忍耐しなさい
テクラよ
そしてあなたは(洗礼の)水を受けることが出来るでしょう
26章
そしてパウロはオネシフォロを彼の家族と共にイコニオムに送り出しました
そしてテクラを連れてアンティオキアに入りました
そして彼等が入ると
或るシリア人が
名をアレクサンダーという者が
テクラを見て彼女を愛しました
そして金と贈り物でパウロに賄賂を贈り媚び諂いました
しかしパウロは言いました
あなたが話しているこの女を私は知りません
彼女は私のものではありません
しかし彼は大力の持ち主だったので
彼は道の中で彼女に抱き付きました
そして彼女はそれに耐えられず
パウロを捜し求めて激しく」叫びました
こう言って
知らない人に暴力を振るわないで下さい
神の婢に暴力を振るわないで下さい
私はイコニア人の一流のものです
そしてタミュリスと結婚しない故に
私は町を追い出されました
そして彼女はアレクサンダーを掴んで彼の外套を裂きました
そして彼の頭から冠を奪い取って彼をもの笑いの晒し者にしました
27章
しかし彼は彼女を愛することと同じく
彼に降りかかったことを恥じて
彼女を総督の前に連れて行きました
そして彼女がこのことをしたと自白した時
彼は彼女に獣による刑を判決しました
しかし女たちは非常に驚きました
そして裁判席に叫びました
邪悪な判決だ
不敬な判決だ
そしてテクラは総督に求めました
彼女が獣と闘うまで乙女のままでいられることを
そして或る金持ちの皇妃が
名はトリュファイナという者が
彼女の娘は死んでいました
彼女の保護の許に彼女を連れて行きました
そして彼女を心の慰めにしました
28章
さて獣たちが行進して引かれて行った時
彼等は彼女を獰猛な雌獅子に縛り付けました
そして王妃トリュファイナが彼女の後に続きました
しかし雌獅子は
テクラが彼女の上に置かれると
彼女の足を舐めました
そして全ての人々は驚きました
さて彼女の罪状として記された題は冒涜罪でした
そして女たちは彼女たちの子供たちと共に上から叫びました
神よ
不敬な判決がこの町で起きています
そして行進の後トリュファイナが再び彼女を受け入れました
何故なら彼女の娘ファルコニラが
彼女は死にました
夢の中で彼女に言ったから
母よ
あなたは私の代わりにテクラを受け入れて下さい
孤独な余所者を
彼女が私の為に祈り
そして私が正しい人の場所に移される為に
29章
それ故にトリュファイナが行進の後に彼女を受け入れた時
彼女も同様に彼女のことを嘆き悲しみました
何故なら明日彼女が獣たちと闘う予定であったから
そして又彼女を彼女自身の娘ファルコニラのように親密に愛していたから
そして言いました
テクラよ
私の二人目の子
いらっしゃい
私の子の為に祈って下さい
彼女が永遠に生きるように
何故ならこのことを私は夢の中で見たから
そして彼女はすぐさま彼女の声を上げて言いました
私の神よ
天に居るいと高き者の息子
彼女の望みに従って彼女に適えて下さい
彼女の娘ファルコニラが永遠に生きますように
そして彼女がこれを言った後
トリュファイナは彼女のことを嘆き悲しみました
素晴らしい美人が獣たちに投げ込まれることを考えて
30章
そして夜が明けると
アレクサンダーが彼女を連れて行く為に来ました
何故ならその競技を提供したのは彼だから
こう言って
総督は座っています
そして人々は私たちに騒ぎを起こしています
獣たちと闘う為彼女を私に渡して下さい
私が彼女を連れて行けるように
しかしトリュファイナが大声で叫んだので彼は逃げ去りました
こう言って
私のファルコニラに対する第二の嘆き悲しみが私の家に生じます
そして助け手はいません
子もいませn
何故なら彼女は死んだから
親族もいません
何故なら私は寡婦だから
私の子テクラの神よ
テクラを助けて下さい
31章
そして総督はテクラを連れて来るように兵士を送りました
そしてトリュファイナは彼女を見捨てず
彼女自身彼女の手を取って彼女を連れて行きました
こう言って
私は私の娘ファルコニラを墓に連れて行きました
しかしあなたテクラを
私は獣との闘いに連れて行きます
そしてテクラは激しく泣いて主に呻きました
こう言って
私が信じる主なる神よ
私が難を避けた方
火から私を救った方
トリュファイナに報いて下さい
彼女はあなたの婢を憐れみ
そして私の純潔を守りました
32章
それ故に騒ぎがありました
そして獣たちの声が
そして人々の絶叫が
そして一緒に座っていた女たちの
或る者はこう言って
冒涜者を連れて来い
そして女たちは言います
この不法行為の故にこの町を取り除け
私たち全てを取り除け
総督よ
冷酷な光景だ
邪まな判決だ
33章
しかしテクラは
トリュファイナの手から連れ出されて
脱がされて腰帯を彼女の身に着けて
そして競技場に投げ込まれました
そして獅子と熊が彼女に対抗させられました
そして獰猛な雌獅子が彼女の許に走って来て彼女の足元に横たわりました
そして女の群衆は大声で叫びました
そして熊が彼女に向かって走って来ました
しかし雌獅子が走って行ってそれに対抗しました
そして熊を二つに裂きました
そして再び一頭の獅子が
人々に対して訓練されたものが
アレクサンダーのものが
彼女に向かって走って来ました
そして雌獅子がそれと取っ組み合って殺し合いました
そして女たちはなお一層嘆き悲しみました
彼女を助けた雌獅子も又死んだことを見て
34章
それから彼等は多くの獣を入れました
一方彼女は立って彼女の手を広げて祈りました
そして彼女は彼女の祈りを終えると
彼女は振り返って水の満ちた大きな水溜めを見ました
そして言いました
今は私が私自身を洗うべき時です
そして彼女は身を投じて
こう言いました
イエス・キリストの名によって私は最後の日に自分自身に洗礼を施します
そして全ての女はそれを見て
そして全ての人々は泣きました
こう言って
水に身を投じてはいけません
その為総督でさえ泣きました
このような素晴らしい美人が海豹に貪り喰われてしまうと
そのようにその時
彼女はイエス・キリストの名によって水に身を投じました
そして海豹たちは
火の閃光を見て
水の上に浮いて死にました
そして彼女の周りを火の雲が囲みました
その為獣たちが彼女に触れることもなく
裸の彼女も見られことはありませんでした
35章
さて女たちは
他のもっと恐ろしい獣たちが入れられると
大声で悲鳴を上げ
そして或る者は花びらを投げ入れ
そして他の者は甘松香を
他の者は桂皮を
そして或る者はバルサムを
その結果多くの芳香に満ち
そしてそれによって打たれた全ての獣は
まるで眠りの中にいるようになって
彼女に触れませんでした
そこでアレクサンダーは総督に言いました
私は非常に恐ろしい雄牛をいくつか持っています
それらに罪人を縛りましょう
そして総督は眉を顰めて
それを許しました
こう言って
あなたが望むことをしなさい
そして彼等は雄牛の脚の間に彼女を縛りました
そしてそれらの腹の下に熱い鉄を置きました
それらが一層激怒して彼女を殺すように
それらはそこで前に跳びました
しかし彼女の周りで燃えた炎は
縄を燃やしました
そして彼女は縛られていない者にようになりました
36章
しかしトリュファイナは
競技場の側に立って
入口で失神しました
それで彼女の婢たちは言いました
皇妃トリュファイナが死にました
そして総督は競技を中止しました
そして全ての町民が驚きました
そしてアレクサンダーは総督の足元に平伏して言いました
私とこの町に情けを掛けて下さい
そして有罪判決を免除して下さい
彼女と共にこの町が滅びないように
何故ならもしローマ皇帝がこのことを聞くなら
恐らく彼は私たちとこの町を滅ぼすでしょう
何故なら彼の親族である皇妃トリュファイナが入口で死んだから
37章
そして総督は獣たちの中からテクラを呼び寄せて
そして彼女に言いました
あなたは誰ですか?
そしてあなたの周りに何があるのか?
獣の一頭もあなたに触れないとは
しかし彼女は言いました
私は生ける神の婢です
そして私の回りにいるのは
それは私がその者を彼の息子と信じている方です
彼に神は満足しています
何故なら彼の故に獣の一頭も私に触れなかったから
何故なら彼だけが救いの終着点であり不死の命の本質であるから
何故なら揺り動かされる者たちにとって彼は逃げ場であるから
虐げられた者にとって安らぎであり
絶望する者にとって避難所であるから
そして要するに
彼を信じない者は誰も
生きることが出来ず
永遠に死にます
38章
総督はこれを聞いて
彼は衣服を持って来るように命じて言いました
この衣服を着なさい
そして彼女は言いました
獣の中で私が裸だった時に私を覆った方が
その方が裁きの日に救いで私に衣服を着せるでしょう
そして彼女は衣服を取ってそれを着ました
そして総督は直ちに法令を発しました
こう言って
私はあなたを釈放する
敬虔なテクラ
神の僕
そして全ての女は大声で叫びました
そしてまるで一つの口のように神に讃美を捧げました
こう言って
テクラを保護した神は一つです
その為彼女たちの声で町全体が揺れました
39章
そしてトリュファイナは
彼女は吉報を告げられると
多くの人々と共に彼女に会いました
そしてテクラを抱いて言いました
今私は信じます
死人が甦ることを
今私は信じます
私の子が生きていることを
家の内に入りなさい
そして私はあなたを私の全資産の相続人にします
テクラはそこで彼女と共に入って
そして八日間彼女の家の中で休みました
彼女に神の言葉を教えながら
その結果女召使たちの大部分も又信じました
そしてその家の中に大きな喜びがありました
40章
しかしテクラはパウロを熱望し彼を捜し求めました
あらゆる場所に使いを送って
そして彼はミラに居ると彼女に告げられるました
そして彼女は若者と侍女を連れて
そして帯を締めて
そして彼女の外套を男の型の外套に縫って
そしてミラに出発し
そして神の言葉を語るパウロを見つけ
そして彼の許に行きました
しかし彼は彼女と彼女と共に居る人々を見て驚きました
こう心に思って
何か他の試みが彼女の上に臨むのか?
しかし彼女はそれに気づいて
そして彼に言いました
私は洗い浄められました
パウロよ
何故なら福音であなたと共に働いた彼が
又私の洗礼に対して私に働いたから
41章
そしてパウロは彼女の手を取りました
そして彼女をヘルミアスの家に連れて行きました
そして彼女から全てのことを聞きました
それ故にパウロは非常に驚きました
そして聞いた彼等は信仰を堅くされました
そしてトリュファイナの為に祈りました
そしてテクラは立ってパウロに言いました
私はイコニオムに行きます
そしてパウロは言いました
行きなさい
そして神の言葉を教えなさい
さてトリュファイナは彼女に多くの衣服と金を送りました
それで彼女はそれをパウロの許に置いていきました
貧乏人の援助の為に
42章
しかし彼女自身はイコニオムに出発しました
そして彼女はオネシフォロの家に入りました
そしてパウロが座って神のお告げを教えていた床の上に平伏しました
そして泣きました
こう言って
私とこの家の神よ
この所で光が私の上を照らしました
神の息子イエス・キリスト
獄中の私の救い手
総督たちの前の私の救い手
火の中の私の救い手
獣たちの間の私の救い手
あなたは神です
そして栄光が永遠にあなたにありますように
アーメン
43章
そして彼女は知りました
タミュリスが死んでいることを
しかし彼女の母は生きていることを
そして彼女は彼女の母を見て彼女に言いました
私の母テオクレイア
主が天に生きていることをあなたは信じますか?
いずれかをあなたが望むなら
金を
主は私を通してそれをあなたに与えるでしょう
あるいはあなたの子を
見なさい
私はあなたの前のここに居ます
そして彼女はそのように証しして
彼女はセレウキアに出発しました
そして彼女は神の言葉で大勢を照らした後
彼女は安眠しました
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